資産運用を検討する上で、円相場の動向は無視できません。
特に、昨年から歴史的な円安傾向が続いていましたが、ここに来て急激な円高ドル安が進んでいます。この状況は一体いつまで続くのでしょうか?
今回は、FPの視点から、今後の円相場見通しをわかりやすく解説するとともに、資産防衛、資産形成のための投資戦略について考察していきます。
1. なぜ急激な円高が起きた?
7月上旬には1ドル=160円台と、37年半ぶりの円安水準を記録した円相場。
しかし、その後わずか1ヶ月で10円以上も円高が進み、8月に入ると一時1ドル=148円台まで急騰しました。
このジェットコースターのような値動きを招いた要因は、日米の中央銀行による金融政策の転換です。
- 日銀: 長期金利の抑制策を修正し、事実上の追加利上げを実施。
- FRB(米連邦準備制度理事会): インフレ抑制のため利上げを続けてきましたが、経済状況を鑑みて利下げの可能性を示唆。
この結果、日米の金利差縮小を見込んだ投資家による円買いドル売りが加速し、急激な円高ドル安を引き起こしたのです。
2. 今後の円相場はどうなる? 専門家の見解は?
では、今後の円相場はどのように推移していくのでしょうか?
専門家の間でも見解が分かれる難しい状況ですが、大きく2つの意見に集約されます。
① 円高トレンドは一時的、1ドル=140円台後半まで円安方向に戻る可能性も
- 根拠:
- 個人投資家や企業による海外投資需要は依然として旺盛
- 日銀は、急激な金利上昇を避けるため、緩やかな利上げにとどまると予想される
- FRBの利下げは、インフレが十分に収束した後になる可能性があり、すぐに日米の金利差が縮小するとは限らない
② 円高トレンドへの転換、1ドル=140円台前半、更なる円高も視野に
- 根拠:
- 歷史的な円安水準を演出してきた投機筋の円売りポジションは縮小傾向
- 日本の貿易収支の黒字化
- アメリカ経済の減速懸念
このように、今後の円相場を予測することは容易ではありません。
3. 円高・円安どっち? FPが教える資産運用戦略!
円高と円安、どちらにもメリット・デメリットがあります。
重要なのは、自身の資産状況や投資目標に合わせて適切な戦略を立てることです。
(1)円高メリットを活かすなら?
- 外貨預金: 円高時に外貨預金に投資すれば、より有利なレートで外貨を購入できます。
- 海外投資: 円高は、海外の株式や投資信託などを購入する良い機会となります。
- 輸入品購入: 海外旅行やブランド品など、割安になった輸入品を購入するチャンスです。
(2)円安メリットを活かすなら?
- 円建て資産の保有: 日本株や投資信託、不動産など、円建て資産の価値上昇が見込めます。
- 輸出関連企業への投資: 為替の影響を受けやすい輸出関連企業は、円安時に業績が向上する傾向があります。
(3)その他
- 分散投資: 円高・円安どちらに転んでも対応できるよう、国内外の資産に分散して投資しましょう。
- 長期的な視点: 短期的な為替変動に一喜一憂せず、長期的な視点で投資を継続することが重要です。
4. まとめ|焦らず、慌てず、長期的な視点で資産運用を
円相場は、金融政策や世界経済など様々な要因によって変動するため、予測は困難です。
大切なことは、最新の情報収集を心掛けるとともに、自身の投資経験やリスク許容度を踏まえて、専門家であるFPに相談しながら、最適な資産運用戦略を立てることです。
この記事が、読者の皆様の資産運用の一助となれば幸いです。
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