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放置された2800億円!あなたの企業型確定拠出年金は大丈夫?【FPが解説】

 

老後の生活費を支える重要な資産となる「企業型確定拠出年金(DC)」。

近年、資産運用への関心の高まりから加入者が増加していますが、転職や早期退職時に放置されてしまうケースが後を絶ちません。

放置された企業型確定拠出年金は「放置年金」と呼ばれ、その総額はなんと2800億円に達していると言われています。放置されたままでは、せっかく積み立てた資産が運用されず、手数料によって目減りしてしまう可能性も。

この記事では、FPの視点から、放置年金問題の現状や、放置による損失、放置を防ぐための対策について解説します。

 

1. 放置年金とは?なぜ放置されてしまうのか?

企業型確定拠出年金は、企業が掛金を負担し、加入者が運用するタイプの企業年金です。老後の安定収入を確保するために、多くの企業で導入されています。

しかし、転職や早期退職をすると、これまでの会社で運用していた年金の扱いについて、加入者自身が判断し、手続きを行う必要があります。

放置年金が発生する主な原因は、以下の通りです。

  • 転職や早期退職時の手続きの煩雑さ:転職や早期退職は、人生における大きな転換期であり、手続きに追われる中で、年金の扱いを後回しにしてしまうケースが多いです。

  • 金融商品選択の難しさ:年金をどのように運用するか、複数の金融商品の中から選択する必要があり、知識や経験がない人にとっては難しいと感じられることもあります。

  • 放置しても問題ないと考えてしまう:年金が自動的に国民年金基金連合会に移される仕組みになっているため、放置しても特に問題ないと考えてしまう人もいます。

2. 放置年金によって何が損になるのか?

放置年金は、以下のような損失をもたらします。

  • 手数料による資産の目減り: 年金が国民年金基金連合会に移されると、移転手数料や管理手数料が毎月発生し、資産が減ってしまいます。

  • 運用機会の損失: 放置された年金は、現金として管理されるため、運用益を得ることができません。放置期間が長くなればなるほど、資産を増やす機会を失うことになります。

  • 税制上の優遇措置の受けられない可能性: 企業型確定拠出年金は、税制上の優遇措置を受けられる制度ですが、放置された場合は、この優遇措置を受けることができなくなります。

3. 放置年金を防ぐための具体的な対策

放置年金を防ぐためには、転職や早期退職前に、以下の対策を検討しましょう。

  • 転職・早期退職前に、年金の扱いについて情報収集する: 転職や早期退職が決まったら、まず年金の扱いについて、会社の人事担当者やFPなどに相談しましょう。

  • 転職先の企業型確定拠出年金の制度を調べる: 転職先の会社にも企業型確定拠出年金制度がある場合は、その制度の内容を事前に確認しておきましょう。

  • 個人型確定拠出年金iDeCo)への移行を検討する: iDeCoは、自分で運用できる年金制度です。企業型確定拠出年金からiDeCoに移行することで、運用方法の選択肢が広がります。

  • 金融機関の選び方を学ぶ: iDeCoに移行する場合、金融機関の選び方や運用方法について、事前に知識を深めておくことが大切です。

  • 定期的に年金情報をチェックする: 年金が自動的に移行されていないか、定期的に確認しましょう。国民年金基金連合会から通知が届いているか、確認することも重要です。

4. FPに相談してみましょう

企業型確定拠出年金は、制度が複雑で、自分だけで判断するのが難しい場合もあります。FPは、年金制度や資産運用に関する専門知識を持つため、適切なアドバイスを受けることができます。

FPに相談することで、以下のメリットがあります。

  • 現状の年金資産の状況を把握できる

  • 将来の年金収入をシミュレーションできる

  • 最適な年金の運用方法を提案してもらえる

  • 転職や早期退職に伴う年金の手続きをサポートしてもらえる

5. まとめ

放置年金は、せっかく積み立てた資産を無駄にしてしまう可能性がある深刻な問題です。

転職や早期退職を検討している方は、事前に年金の扱いについて十分な情報収集を行い、適切な手続きを行いましょう。放置を防ぐことで、将来の安定収入を確保し、安心して老後を迎えることができます。

FPは、年金に関する専門的な知識を持っているため、放置年金の対策や、将来の年金設計について、最適なアドバイスを提供することができます。

この記事が、放置年金の現状や対策について理解を深め、将来の年金設計を考えるきっかけになれば幸いです。

 

 

 

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