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教育費の実態:日本の現状と課題

はじめに

子どもを育てる上で、教育費は大きな負担の一つです。日本では、教育費への公的支出が少なく、家庭の負担が大きいという特徴があります。

この記事では、日本の教育費の実態について、公的支出の割合、家庭の負担、世帯年収による格差、新型コロナウイルスの影響などについて詳しく解説します。

 

公的支出と家庭負担

日本は、OECD諸国の中でも教育費への公的支出の割合が低い国です。OECD諸国の平均4.1%に対して、日本は2.8%と最低クラスです。

一方、子ども一人当たりにかかる学校関連費用は、小学校から大学までで1万2194米ドルと、OECD諸国の平均を上回ります。これは、大学の授業料や入学金などの在学費用が特に高いことが原因です。

 

教育費の負担

高校入学から大学卒業までにかかる子ども一人当たりの教育費用は、令和2年度で965.1万円と、前年度より26万円増加しました。

このうち、大学の入在学費用が最も多く、平均で535.5万円となりました。また、自宅外通学者への年間仕送り額は、平均で90.3万円となりました。

 

世帯年収による格差

教育費の負担は、世帯年収によって大きく異なります。年収200万円以上400万円未満の世帯では、教育費が年収の31.7%を占め、最も負担が大きくなります。

一方、年収1000万円以上の世帯では、9.0%と最も負担が軽くなります。

 

新型コロナウイルスの影響

新型コロナウイルスの影響で、教育費の負担がさらに重くなった家庭も少なくありません。調査によると、新型コロナウイルスの影響で教育費の負担に影響が出た世帯は13.7%に上りました。

 

課題と展望

日本の教育費の実態は、公的支出の少なさと家庭の負担の大きさという二面性を持っています。教育の機会均等や家庭の経済的負担の軽減のために、教育費の公的支出の拡充や教育費の負担に応じた支援制度の充実が求められています。

具体的には、以下のような取り組みが考えられます。

      • 公立高校の授業料無償化の対象を拡大する
      • 大学の授業料を減免する
      • 奨学金の貸与条件を緩和する
      • 低所得者向けの教育支援制度を充実させる

これらの取り組みによって、すべての子どもが能力や才能を発揮できる社会の実現を目指したいものです。

参考文献

OECD (2021), Education at a Glance 2021: OECD Indicators, OECD Publishing, Paris

日本政策金融公庫 (2022), 令和2年度教育費負担の実態調査結果